今の子供たちが熱狂する「Roblox」を10時間プレイしてわかったこと

Roblox

つい先日、SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026 の開催がスクエニ公式より発表された。

なんと!賞金総額10億円

ゲームコンテストと聞いて、まず思い浮かぶのは、エニックスの創業期に開催されたゲームコンテストのことだ。

このコンテストをきっかけに、『ドラゴンクエスト』の生みの親であるゲームデザイナーの堀井雄二さんや、プログラマーの中村光一さんが見出された。

そんな歴史を思い出すと、どうしても胸が熱くなる。

かつて『ドラゴンクエストⅢ』のエンディングを眺めながら、「いつか自分も、人を感動させるゲームを作ってみたい」と夢見ていた頃の自分が、ふと蘇ってきた。

だからこそ今、バイブコーディングという新しい手段を使って、本格的なゲームを一本作ってみようと決意したのである。

制作に入る前に、まず理解しておきたかったことがあった。

現代の子供たちが熱狂している「Roblox(ロブロックス)」という存在である。

今の若い世代は、いったいどんなゲームに反応しているのか。
何を面白がり、何に熱狂し、何に飽きるのか。

それを知るために、実際にRobloxを10時間ほど遊んでみた

そのうえで率直に感じたことは、これは完全に「水モノ」だな、ということだった。

目次

子供たちが求めているのは「お行儀の良さ」ではない

Robloxの根底にあるのは、極めて原初的な子供の心理メカニズムだと思う。

子供というのは、本能的に「不穏なもの」や「不浄なもの」に惹かれやすい。
「うんこ」や「妖怪」や「怖い話」に異常なほど興味を示すのも、おそらくその延長線上にある。

Robloxが世界中でここまで巨大なプラットフォームになった理由も、まさにこの「大人の管理から少し外れた、危険でカオスな空気」を許容しているからではないかと思う。(近頃、規制を厳しくしたことで伸びが鈍化したとも言われている)

そこには、綺麗に整備された商業ゲームとは違う、雑多で、粗くて、少し不穏で、何が起きるかわからない空気がある。

子供たちは、そういうものに敏感だ。

ただし、その熱は非常に移ろいやすい。
ある程度遊んで、不穏さや目新しさが薄れてしまうと、彼らの興味はあっという間に次のカオスへ移っていく。

なぜなら、同じプラットフォーム上のワンクリック先には別のカオスゲームが犇めているからだ。

まさに濁流のような「水モノ」の世界である。

「商業然とした作品」は見向きもされにくい

この濁流の中に、企業が予算をかけて作った「見た目の良い、商業然とした、お行儀の良い作品」を置いたとしても、子供たちがそこに熱狂するかというと、かなり難しいと思う。

子供たちは、大人が用意した安全で退屈なテーマパークを求めているわけではない

むしろ、下手にこの無法地帯のような空間へ企業が参入し、誰も寄り付かない閑散としたお行儀のよいワールドを晒し続けることは、企業のブランディングを傷つけるリスクすらある。

Robloxの中で目立つためには、綺麗に整っていることよりも、まず「何か変なものがある」「何か起きそうだ」と思わせる力のほうが重要なのだろう。

その意味で、従来の商業ゲーム的な発想とは、かなり相性が悪い。

クリエイターにとっての虚無感

もちろん、個人で力のあるクリエイターであれば、このプラットフォームの構造をうまくハックして、大きく稼ぐことも不可能ではないと思う。

とは言え、かなり狭き門であることは間違いない。

そして、純粋なゲーム開発としてそれが面白いかと言われると、個人的にはかなり疑問が残る。

なぜなら、Robloxでは、精緻に計算された美しいレベルデザインや、練り込まれたゲームルールよりも、荒削りで、理不尽で、ルールすら曖昧なもののほうが、子供たちに刺さることがあるからだ。

職人気質のクリエイターにとって、丹精込めて作った作品が、ただの「理不尽な鬼ごっこ」に負ける現実は、かなりしんどい。

もちろん、それも一つの才能ではある。
子供たちの感覚をつかみ、乱暴に見える遊びを成立させること自体に、独特のセンスが必要なのは間違いない。

しかし、自分が作りたいものがそこにあるかと言われると、かなり違う。

コンサルと大企業が踊る「イノベーション・シアター」

では、なぜ大企業はRobloxやメタバース空間でプロモーションを行うのか。

そこには、費用対効果の低さを見ないふりにしたまま進んでいく、ある種のビジネス構造があるように感じる。

おそらく大企業が、自ら積極的に「Robloxで何かやろう」と考えているケースばかりではないだろう。

間に広告代理店やコンサルティング会社が入り、「Z世代・α世代へのリーチ」「次世代プラットフォーム」「先進的なブランド体験」といった言葉を並べて、大企業の広告宣伝費を吸い出すアプローチしているのではないか。

コンサル側は、「若い世代に注目されるチャンス」と煽り、効果測定が曖昧な最先端分野として高額な予算を引き出す。

大企業側は、「先進的な取り組みをしている」という株主やメディアへのアピール、いわば“やってる感”の演出として、予算を投じてしまう。

これは今に始まったことではない。

2000年代の「セカンドライフ」から始まり、VRブーム、メタバースブームなど、これまで幾度となく「これから流行りそうな仮想空間」に大企業が参入し、そして多くが目立った成果を出せずに終わってきた。

その焼き直しが、今またRoblox周辺でも起きているように見える。

今後も、企業がプロモーション目的でRobloxを利用するケースは増えるかもしれない。

しかし、それがメインストリームの広告媒体として定着するかというと、私はかなり懐疑的だ。

泥だらけの巨大な公園のど真ん中に、スーツを着た大人たちが「お行儀の良いVIPルーム」を建て、子供たちを呼び込もうとしている。

その図式が続く限り、大手企業の有り余る宣伝費は消費され、また歴史の失敗リストに新たな1ページが加わるだけではないかと思う。

では、自分はどこで戦うべきか

では、自分が若い世代に多く遊んでもらえるゲームを作るにはどうすればいいのか。

Robloxを触ってみて、そこが一番の悩みになった。

結論から言えば、私の性格上、Roblox的なヒットを狙って作るのは難しい。
これはかなり強く感じた。

Robloxで成功するには、計算されたゲームデザインだけでは足りない。
子供たちの不穏な好奇心、流行の移り変わり、理不尽さへの耐性、意味不明なものを面白がる感覚。
そういったものを、かなり高い精度でつかむ必要がある。

そして、それを狙って再現するのは非常に難しい。

Robloxには4000万本以上のゲームが公開されていると言われている。

その大海原の中で、自分の作った一本を見つけてもらう感覚は、まさに海に浮かぶ一枚の木の葉を探してもらうようなものに近い。

そこで私は、Robloxではなく、別のステージで戦うのが賢明だと判断した。

Steamであれば、競争が厳しいことに変わりはないが、それでもRobloxよりは「作品」として見つけてもらえる余地がある。
少なくとも、ゲームとしての完成度や作家性で勝負できる可能性は残っている。

また、冒頭で述べたように、スクウェア・エニックスのゲームコンテストへの参加も考えている。

ただし、こちらも甘くはない。
数千万から数億円規模の開発予算が付いているであろう法人の製品や、すでに一定の知名度を持つインディーズ作品も応募してくる可能性が高い。

よって、記念参加に近い感覚で捉えている。

とは言え、人生の中で、自分がどこまでゲームを作れるのか試してみる機会としては悪くない。

約9カ月で、どんなゲームが出来上がるのか。

自分でも楽しみである。

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