バイブコーディングって何?|ド素人が知識ゼロでアプリを作ってみた結果

バイブコーディング

きみ、バイブス感じちゃってる?

日本人にとって「バイブス」と聞いて真っ先に浮かぶのは、ちょっと痛い系のおじさんがカッコつけてクラブ系スラングを口にする場面ではないでしょうか。

しかし近頃、「バイブス」という言葉が流行の最先端に躍り出たのをご存じでしょうか?

そう、「バイブコーディング」です。

「Vibe Coding」を直訳すると「雰囲気コーディング」となります。

つまり、AIの力を借りて、まるでAIと会話するようにプログラミングをすること。それがバイブコーディングです。

目次

従来のプログラミングと何が違う?

あたりまえですが、今まではプログラム言語という非常に小難しいアルファベットと数字の羅列をキーボードで打ち込み、脳内でその挙動を想像しながら、地道にプログラムを構築していく必要がありました。

つまり、昔はよほど優秀な頭脳の持ち主か、マゾ体質な人しか手を出さないような分野だったわけです。(偏見)

昔のプログラマーはスーパーヒーローでした。

現代の情報社会の基盤を築いたWindows 95やInternet Explorerの開発に携わった中島聡氏。 名作RPG「ファイナルファンタジー」を制作したスクウェアの創世記に数々の伝説を残したナーシャ・ジベリ氏。 そして、スティーブ・ジョブズと一緒にAppleを作ったスティーブ・ウォズニアック氏。

彼らはまさに、神業のようなプログラミングスキルを持った、時代の寵児だったのです。

ところが、今、AIの登場でプログラマーの地位が脅かされているなんて声もよく聞かれます。

なぜなら、作りたいものをざっくりとAIに伝えると、小難しいプログラムをAIが信じられない速度で書いてくれるようになったからです。

つまりどういうことかというと、プログラム言語が理解できなくても、「こうしたい」「ああしたい」という感覚や「雰囲気」を会話形式でAIに伝えるだけで、AIがそれを汲み取ってコードを生成し、アプリケーションを作ることができるようになったのです。具体的な仕様書や設計書など作る必要も一切ありません。

ChatGPTが登場してから、LLM(大規模言語モデル)があっという間に世界中に広まり、そこから自然言語だけでなく、画像生成、音楽生成、動画生成などあらゆる分野を物凄いスピードで浸食しはじめましたが、当然、特にプログラミングとの相性は高く、今やAIを活用していないプログラマーの方が天然記念物並みのレアキャラになりつつあるのではないでしょうか。

バイブコーディングのメリット・デメリット

「バイブコーディング」で検索してみると、すでに多くの人がこの革命について語っています。ブログ界隈で知らない人はいないトップインフルエンサーの「イケハヤ」さんが既にバイブコーディングサロンを主催して荒稼ぎしていることを知って爆笑してしまいました。さすが生粋のイノベーター。時代を読む力が半端ないですね。私は自身がアーリーアダプターくらいじゃないかと自負していますが、イケハヤさんの足元にも及びません。

いろいろな記事を読んでみると、メリットとデメリットが語られていることが多いので、ここでまとめておきましょう。

メリット

  • 誰でもできるプログラミングの民主化:専門知識がなくても、アイデアさえあれば形にできます。
  • 開発速度が超速い:AIがコードの大部分を書いてくれるので、圧倒的なスピードで開発が進みます。
  • AIが優秀なメンターに:分からないことがあればAIに聞けばすぐに解決策を教えてくれます。

デメリット

  • バグの修正が大変:AIが書いたコードにはバグが含まれていることもあります。修正にはある程度の知識が必要になります。
  • 「なんちゃってプログラマー」に:AIに依存しすぎると、自分で考える力が育たない可能性があります。
  • AIの出力の品質管理は自己責任:AIが出力したコードの品質は保証されないため、最終的なチェックは自分で行う必要があります。

他のバイブコーディングの記事に書かれているデメリットは、セキュリティーが弱いとか、そうはいっても指示プロンプトのセンスが求められるとか、いろいろと書かれていますが、そんなものはAIの進化の渦にあっという間に呑み込まれて、ほとんどのデメリットが解消する日も近いと私は思います。

現時点でも、難しそうな部分もAIに聞けば解決できるので、ほとんどデメリットはないと言っても過言ではないでしょう。

プログラム知識ゼロのド素人がゲーム開発に挑戦

多くの記事が「バイブコーディングはすごい」と語る一方で、肝心な「じゃあ何を作ったんだい?」という部分が曖昧だったり、試作しているものが実用性皆無のアプリだったりして、何が凄いのかイマイチ伝わらないものが多かったです。

エンジニアの方の記事や動画も、わかりやすく解説されているものの、イマイチ具体性に欠けるのです。

そこで、バイブコーディングという言葉も知らずに、「コーディングできるなら、いっちょゲーム作ってみようかな」なんて軽い気持ちで始めてみた、私の体験談を話しましょう。

最初のきっかけは、大人気のAI「Claude」で作った「ゲーム」でした。

プロンプトは「コンピューターと対戦できるゲーム作って」たったこれだけです。

そうしたら、難易度設定までできるゲームが1分で完成しました

※クリックすると新しいタブでゲーム画面が開きます。

凄すぎる・・・!

この時点で私はAIによるアプリケーション開発に無限の可能性を見ました。

私の子供の頃からの夢は、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」のようなRPGをいつか自分の手で作ることでした。これまでにも、ノーコードでゲームが作れるツールを色々と試してはみましたが、表現したいことが多すぎて、すぐに限界を感じてしまうことばかり。結局、莫大な作業量を前に、ほとんどの人が挫折してしまうのが現実でした。

ですが、AIを活用すればだれでも理想のゲームが制作できるという具体的なイメージが湧いたのです。

私は興奮しました。そうはいってもRPGは流石にコードのボリュームが半端ないので、現時点では難しいですが、簡単なゲームなら可能だと確信しました。その時、子供の頃、ノーコードでシューティングゲームが作れるファミコンソフトにハマったことを思い出しました。

そして、試しに「シューティングゲームを作って」とAIに指示してみました。

すると、宇宙空間のような星が流れる背景に三角の自機、そして同じく色違いの三角の敵機がランダムに出現して、弾を撃ってきて、自機から弾の発射や当たり判定やゲームオーバーの判定、スコアの算出など、一通りの処理がしっかりとできているゲームがこれまた1分で完成したのです

※クリックすると新しいタブでゲーム画面が開きます。

オーマイガー・・・!

これで私の制作意欲に火が付きました。そして、試行錯誤の末に約5日間の制作期間を経て完成したのが、この「NEXT MOVE STRIKER」です。四の五の言わずにまずはプレイしてみてください。

※クリックすると新しいタブでゲーム画面が開きます。

制作に使ったツールたち

ここで実際に制作に使ったツールを教えましょう。

  • Claude:最初のドラフト版を製作しました。
  • Cursor:Claudeから引き継いで、さまざまな処理を実装しました。
  • ChatGPT:ゲーム内で使う画像を生成しました。
  • Suno:BGMを生成しました。
  • Gemini:Cursorで修正できないバグを修正するのに使用しました。

その他、Androidアプリにするために、AIの指示に従ってAndroid StudioやCordova、Node.jsといったツールを使いました。何をしているのか全くわからないまま、AIの指示通りに作業を進めたところ、無事にAndroidアプリが完成しました。しかも、これらはすべて無料で利用できるのです。

バイブコーディングの未来と私の野望

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たった5日で作れたのですから、RPGのような大作を作るのも、やる気さえあれば作れそうです。ただ、どうせ作るのなら大作をつくりたいので、UnityやUnreal EngineなどでAI活用が今よりもっと簡単になったら、手を出そうと思っています。

現在、バイブコーディングはプログラミングの新たな形として注目されています。今回ゲームを制作してみて私が強く感じたのは、ここから数年の間に、業務効率を向上させる管理アプリなど、人間はAIの力を借りて様々なアプリケーションを量産するようになるだろうということです。

しかし、この「AIが人間の代わりにコードを書いて生成する」というフェーズも、あくまで一時的なものだと私は考えています。

なぜなら、近い将来、人は「コーディング」という概念そのものを忘れる日が訪れると確信したからです

つまり、小難しいアルファベットの羅列であるプログラムとにらめっこする行為自体が、この世からなくなるということ。

例えるなら、現代の車ではライトの点灯・消灯が全て自動になり、手動で操作する習慣がほぼなくなりました。旧車に乗ると、つい点け忘れて捕まってしまうかもしれません。また、自宅の廊下や洗面所、玄関、トイレの照明も全て人感センサー照明になり、点灯と消灯のスイッチ操作の習慣がなくなりつつあります。

これと同じように、業務のほとんどはAIが代替し、人間はその結果を確認するだけになるでしょう。つまり、業務ごとの管理アプリなども必要なくなる日が来るということです。今回の経験を通じて、そういったことが可能なASI(人工超知能)が世の中に浸透する日も、そう遠くないと私は確信しました。

現時点でのバイブコーディングは、プログラマーの仕事を奪うのではなく、むしろプログラミングという行為を「誰でもできる」ものに変える、新しい時代の道具だと言えるでしょう。

しかし、現在のAIの進化スピードを鑑みると、これらがコモディティ化して、無価値なものになるのもあっという間かもしれません。ですから、そうなる前に、アイデアがあるのに形にできなかった、という人は今のうちにぜひ一度、AIと会話するつもりで何かを作ってみるという経験をしてみてはいかがでしょうか?

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