【30代40代におすすめ】45歳で合宿免許に行くことになった話

icatch001

合宿免許という選択

camp07

なぜ俺が合宿で免許を取ろうと思ったのか。その最大の理由は、自転車で五分ほどのところにある地元の教習所の評判がとんでもなく悪かったからだ。とは言え、クチコミ情報は得てして当てにならないことが多いので、実際に見学に行ってみたが、残念ながら噂にたがわぬ惨状だった。

休日にも関わらず、教習所内を走っているのはバイクが二台だけ。四輪車は一台も稼働していなかった。母に確認したところ、いつ見てもほとんど車は稼働していないとのこと。料金も驚くほど高く設定されており、他の教習所と比べると十万近くも高い。

コスト削減のためなのか薄暗い所内には悲壮感さえ漂っていて、少子化の波をもろに受けて沈んでいく船を見るようだった。

早々に地元の教習所に見切りをつけた俺は、ちょっと遠いがバスで1時間ほどのところにある教習所を調べてみた。しかしここは逆に人気がありすぎて、通うと免許取得までに二か月以上かかるらしかった。この歳で二か月以上も悠長に教習所に通ってはいられない。もう合宿しかないか・・・

実を言うと、俺は二十年前に合宿で免許を取得している。その時は若さゆえに料金の安さに惑わされ、監獄に閉じ込められるような経験をしたため、合宿免許が軽いトラウマになっていた。

でも仕方がない・・・二週間の辛抱だ。

camp08

ネットで色々と調べていると、合宿は女性しか受け入れていないところや年齢制限を設けているところも多く、自ずと選択肢は狭くなった。

結局、口コミでは散々だけれど、料金もそこそこでビジネスホテルの宿泊プランがある福島の教習所を選択した。

二十年前の記憶

camp09

教習所への入校日、いわき駅に送迎バスが来ることになっていた。

改札を出るとプラカードを持った教習所の職員が笑顔で出迎えてくれた。しかし、そこに集まったのは入所者はたった二人だけ。「え?これだけ」と思いながら辺りをキョロキョロと見渡す。一抹の不安が頭をよぎる。

ざわざわざわ・・・・

職員の方に送迎バスの停留所まで案内してもらう。そこに待っていたのはバスではなく小さなワゴン車だった。不安が倍増し、二十年前の悪夢のような合宿の日々が走馬灯のように蘇ってくる。

ざわざわざわ・・・・

たしか二十年前も最寄り駅に迎えに来たのは、ボロボロのワゴン車だった・・・

camp10

二十年前の合宿生活は本当に地獄だった。

特大な「G」が這い回るボロボロの宿舎で、狭い畳の部屋に4人も押し込まれ、食事は監獄食そのもの・・・いやもっと酷いかもしれない。

しかも予定通りに教習所を卒業できるのは四割程度で、それ以外は延泊課金地獄が待っていた。ほとんど詐欺に近い状況の中、俺は気合と根性でどうにかストレートで合格を果たしたが、教習所を卒業する頃には二キロ以上痩せていた。同部屋の二人は延泊課金地獄を恐れ、マニュアル車からオートマ限定免許に切り替えていた。

そんな地獄の日々を思い出しながら、俺はまるで地下帝国へ連れていかれるカイジのような気分になっていた。

camp36

しかし、教習所に着くと不安は一気に払拭された。

建物は若干古いけれど、しっかりと掃除が行き届いていて明るい一階ロビー、螺旋階段を上った先の二階には広くて小綺麗な待合スペースがあり、空調もしっかり効いていてかなり快適な時間を過ごせそうだった。

地下帝国ではなかったことに俺は心底安堵した。

1 2 3 4 5 6 7

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です